たかが沢庵、されど沢庵  ヤマキ食品社長小竹市作氏(71才)
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※記事中の会社名・団体名・所属・役職等は取材当時のものです。
平成12年12月1日号
大西リポート093
 

たかが沢庵、されど沢庵


儲けはIT産業より上
ヤマキ食品社長小竹市作氏(71才)

濡れ手に粟

 IT革命が叫ばれる今、あの古くさい「沢庵」をつくって財を成した人物がいる。新潟市赤塚で漬物会社を経営しているヤマキ食品の小竹市作社長(71才)がその人である。その道五十四年。百十人の社員を使って年商十二億円をあげている。新潟県では増子(聖能町)に次いで沢庵で第二位の地位にある。たかが沢庵というなかれ、されど沢庵なのである。
 小竹さんは涙が出るくらいうれしいもうけ方を何度も体験した。創業当時、小型のタンク二本に大根をつけた。原価が八千円というのに新潟市の問屋さんが七万六千円で買ってくれた。
 何と十倍に化けたのである。当時、畑の値段は一反八千円。もうかった金で畑を六反買い、大根をつくった。翌年はタンクを四本にした。こうして財産をどんどん増やし、一町二反しかなかった畑を六町八反にまで増やした。
 次に手がけた昆布漬でももうかった。「電源開発の奥只見発電所へ出稼ぎにきている人から勧められて始めたのだが、何と原価の三〜五倍で買ってくれた」。まさに濡れ手に粟である。ミクロン単位の精度を出す部品をつくりながら「一割も利益があればいい方」と嘆く社長からみればよだれが出るような話だ。

業者乱立

  新潟市赤塚で沢庵をつくるメーカーが続出してさた。大根をぬかと食塩で漬ければできるのだからたいした技術はいらない。そのうちに原料の大根を高い値段で買い集める会社が出てきた。小竹さんもこれには困った欲しいだけの大根が手に入らないのだ。
 そこで大きな勝負に出た。昭和五十三年のこと。沢庵のメーカーが個々で大根を買うをやめ、共同で買い付けることにし、同業八社を説得して「赤塚漬物振興会」をつくった。そして売る方も農協一本にしてもらい、契約は振興会と農協のみに限定した。いわゆる契約栽培方式の導入である。
 欲たかりが集まって勝手に競争している世の中。こんなことができるのかと不思議に思うが、そこはそれ、赤塚という土地柄。小竹さんの人望もあり実現した。赤塚の大根が大飛躍したのはそれからである。契約相手も内野、巻町など五農協に広がり、大根畑の広さが三倍になった。全国の三大産地九州、茨城、新潟のうち九州と茨城が縮小していく中で、新潟だけが大きくなったのである。地場産業の誕生である。

足を運ぶ

 コロナを創業した故・内田鉄衛氏はその昔、石油ストープをつくった時、全国の燃料店を一軒一軒尋ねて売り歩いた。
 同じようにヤマキ食品の小竹社長も自分でつくった沢庵を自分で売り歩いた。長岡へ、小千谷市へ、小出へと県内を歩き、さらには秋田、東京、仙台へと全国に販路を広げた。自社製品をつくった場合「我が社には販売力がない」といって商社にまかせる企業が多いが内田氏も小竹氏も「自分でつくった商品なんだから自分で売らねば」と自ら足を運び現在の経営基盤を築いた。
 そういえば長岡市の小野沢豊商工部長がおもしろいことをいっている。
 「Eメールだ、ファックスだというが私は何かあれば、直接相手のところへ足を運ぶ。そして相手の顔を見て頭を下げる。そうすればたいがいのことは何とかなる。だって相手は人間だよ」。客と直接接することによって感動があり、人間関係もできる。
 「新製品のアイディアまで出してくれる」と小竹氏は効用を説く。
小竹氏は今、ヤマキ食品の社長のほか赤塚商工会会長、新潟県漬物協同組合副理事長もつとめている。

新潟西商工会・牧田博事務局長の話
 「寄付となると渋い人が多いが、小竹さんは気前がいい。赤塚商工会館をつくった時、ポーンと五百万円を寄付したからね」

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