社長の座を追われて今?旧ネミック・ラムダの創業者 斑目力曠氏
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大西リポート 「大西リポート」は新潟県内の経営者の生き様を大西勇がホンネで紹介したドキュメントです。
日刊工業新聞記者・大西勇が取材した旧ネミック・ラムダの創業者・斑目力曠氏の本音。会長兼社長の座を追われて1年。カリスマ的存在だった斑目さんも、もはやこれまでかと思っていたら、62才でベンチャー企業を設立していた。

 
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※記事中の会社名・団体名・所属・役職等は取材当時のものです。
平成11年12月1日号
大西リポート078
 

社長の座を追われて今?


62才でベンチャー企業を設立
旧ネミック・ラムダの創業者 斑目力曠氏

あたって砕けろ

 ネミック・ラムダの創業者斑目力曠氏(まだらめ・りきひろ=62才)が英国系親会社と対立し、会長兼社長の座を追われて1年がたつ。カリスマ的存在だった斑目さんの人生ももはやこれまでかと思っていたら十一月十三日、一年半振りに長岡へやってきた。ベンチャー企業の設立を希望する若者百人に対する講演のためだった。
 背は低いが、声は太くてたくましい。歯切れもいい。元気である。すっかり立ち直ったかにみえる。「私はもうすぐ六十三才になるが、今年四月に新しい会社をつくりました。死ぬまでむち打って生きていくのです」「恥も外聞も一切捨てた。格好いい生き方はしない。野に放たれた野獣のような気持ちでやるぞ!」「失敗したっていいじゃないか。犬でも猫でも生きることくらいはできるんだから」
 六十代で創業したので自らを「シルバーベンチャー」と呼んだ。ちなみに七十代で会社をつくる人のことをゴールドベンチャー、八十代はプラチナベンチャー、九十代はダイヤモンドベンチャーというそうだ。
「もうかるか損するか、そんなことはわからない。あたって砕けろだ」
たいした迫力である。

つらい日々

  二十八年間にわたって手塩にかけて育ててきた自分の会社の社長を解任させられるというのは死ぬほどつらいことだろう。資本の五十一%をもつ英国系親会社と経営路線を巡って対立し、そして敗れたのが解任の理由という。
 解任直後に見舞いに訪れた長岡市役所の幹部に、斑目氏は「一番ショックだったのは長岡工場の社員が私に反旗をひるがえしたことです。あれほどつらいことはない」と涙ぐんだ。
 東京の雑誌記者には「自殺はしなかったけれど本当に死のうかと思ったくらいです」と述懐している。
 カリスマ・斑目氏もやはり人間だった。一人になれば弱いのだ。
 そんな斑目氏を救ったのは何だったのか。氏が得意とする仏教ではない。友人だった。安田火災海上の後藤康男会長、日本電算の永守重信社長、ユニ・チャームの高原慶一郎社長、仏壇のはせがわの長谷川裕一社長らである。「捨てる神あれば拾う神あり。私が失脚したことで去っていく友もあれば、逆に手を差しのべてくれる友もいる。人生いろいろです」
 昔からいう。「繁栄は友をつくり、逆境は友を試す」

鼻たれ小僧

 六十二才でつくった新会社は「マルチグラフィックス」といい、資本金は三億円。友人多数が出資した。東京に本社をおき社員は今一十人。画像の保存業が仕事だ。画像の本「画像出版」もやる。
 三十年前、長岡市で日本電子メモリ工業を創業した時、資本金の千五百万円がスタート六ケ月でたった十万円になった。半ばやけくそで残った十万円を長岡花火にエイヤーと投じたところ、それがきっかけで会社が浮上したという思い出がある。
 現在の新会社の資本金三億円も「残り少なくなってきたので来年あたり、長岡花火で二百発はどハデに打ち上げるか」といってカラカラ笑った。
 講演のため長岡を訪れた時も、日浦前市長を見舞い「目浦さん、会社を起こして私の会社の代理店をやりませんか。社名は日浦マルチグラフィックスでどうです」
 「日浦さんの年令ならプラチナベンチャーだなあ」といって可々大笑いした。
「九十六才になる恩師が私にいってくれました。五十〜六十は鼻たれ小僧、七十〜八十は働き盛り。九十でやっと刈り取りだと」。とすると四十代は赤ん坊、三十代は胎児か。

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