生かすも殺すも筆しだい 新潟中央銀行の頭取に就任する大竹多計二郎氏(68才)
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※記事中の会社名・団体名・所属・役職等は取材当時のものです。
平成11年6月21日号
大西リポート071
 

生かすも殺すも筆しだい


記者会見で記者に再三、注文
新潟中央銀行の頭取に就任する大竹多計二郎氏(68才)

マスコミ音痴

 新潟中央銀行の再建役として大竹多計二郎氏(元専務68才)が登場してきた。
 十年前に引退した人なので本人自身「浦島太郎みたいなものです」という反面「人生最後のご奉仕」とやる気満々。新潟中央銀行にとって創業以来の大ピンチ。二百億円というとてつもない金額の増資を達成しないとつぶれてしまう。
 こんな難題を引き受けた大竹氏とはいったいどんな人物なのか?
 六月十五日に行われた頭取就任の記者会見で大竹氏の人柄を観察した。確かに責任感は強い。やる気もある。誠実でもある。ところがである。約一時間もの会見中、しつこいくらいマスコミ報道に注文を出したのだ。 「あなた方の筆ひとつで我が社なんかどうにでもなる」
 「再建できるかどうかはあなた方の筆しだい」とまで。
 再建できなかったらその責任は自分ではなく、マスコミにあるかのよう。集まった約三十人の報道陣もこれにはいささかうんざりした。
 マスコミへの期待が大き過ぎるのだ。だから期待どおり書いてくれないと不満になる。
マスコミのホンネを知らない。マスコミ音痴というやつだ。苦労するぞ。これから。

想定問答1

大竹
 「まず最初にマスコミの方々にお願いしたい。私はこれから新潟中央銀行の再建に取り組むが、あなた方の筆の運びようによって助かるものでも助からなくなる。新潟中央銀行を地元に残しておきたいという気持ちでどうか記事にしていただきたい」

記者団
 「記者会見というのは記者を通してその背後にいる県民に情報を伝えるのが目的だ。報道のあり方について記者と話す場ではない。話し合っている時間もない。せっかくだが無視するしかない」

大竹
 「実態と違った書き方をされるとせっかく再建に努力していてもたちどころに瓦解してしまう。それをお望みなら仕方ないが、そうでないならぜひ私共の気持ちを汲みとった報道をお願いしたい」

記者団
 「記事に明らかなミスがあれば堂々と指摘し、ものによっては訴えてもいい。私共の気持ちを汲みとってとおっしゃるが我々は新潟中央銀行の社内報ではない。第三者立場にたって自由にものを書くのを本分としている。だから大竹さんの望むような記事にならないこともある。仕方がないでしょう。給料出している社員だって社長の思うとおりいかないのだから」

想定問答2

大竹
 「新潟中央銀行はあすにもつぶれるという報道があるが誠に迷惑だ。自己資本が足りないから、注意しなさいよと金融監督庁からいわれただけ。破たんしたところと違ってうちはちゃんとした銀行だからね」

記者団
 「気持ちはわかるが、他人の不幸は蜜の味という言葉もある。銀行だって天気のいい日にかさを貸し、雨が降ればとり上げるじゃないか。本質は同じだよ。クリントン大統領やダイアナ妃がマスコミ攻勢に苦しめられたが、絶対に言論封じはしなかった。言論に自由を認める民主主義の国だからね。北朝鮮のような国になったらおしまいだよ」

大竹
 「新潟中央銀行を生かすも殺すもあなた方の書き方しだいと思っている。ここまで思うのは私の偏見だろうか……」

記者団
 「偏見ではなく、マスコミへの過大期待だ。マスコミは銀行の利害に関係なく勝手に書くものだ。いちいち気にしていたら身体がもたない。故・君健男知事の何勝何敗主義がいい。好意的に書いてくれたのが六、悪く書かれたのが四。六勝四敗だからま、いいか,と」。

(後記)大竹氏は就任後、三ケ月もたたずして突如辞任し、不審感をあおることになった


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