こうと決めたら猪突猛進 セコム上信越の野沢謹五社長(62才)
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※記事中の会社名・団体名・所属・役職等は取材当時のものです。
平成10年7月1日号
大西リポート058
 

こうと決めたら猪突猛進


安全を産業に確立した男
セコム上信越の野沢謹五社長(62才)

異端児

 「いったい景気はどうなっているんだ」。 「橋本さんは辞めるべきだよ」。経営者が集まるとすぐ不景気の話が出る。そんな中、「ガタガタ騒ぐんじゃないよ。景気が悪いといってもメシが食えないわけじゃないんだから」とたしなめているのは、新潟商工会議所の中田久蔵会頭。さすが80男の達感だ。 同じように 「景気?そんなものは関係ない」といい切っている男がいる。セコム上信越の野沢護五社長 (62才) だ。「私はネ。こうと決めたら猪突猛進する。経営するのに景気なんか関係ない。他人がどう思おうと関係ない。人の意見もいらない。何が何でもやり遂げる。だから反省とか後悔はしたことがない」。 セコム上信越というのはいわずとしれた警備保障会社。売上百五十億円、税引前利益23億円。子会社を含めた従業員はじつに千九百人もいる。これは三条のコロナに迫る。二年前に42億円かけて新社屋を完成した。野沢さんが一代で築いたものだ。何しろやり方が強烈である。会社の幹部は木刀でしごいて教育した。誰に対してもズケズケ本音をいうから敵も多い。「和をもって等しとなす」新潟の風土では異端中の異端だ。 だが本人は一向に気にしない。 恐い者知らずだ。

今にみていろ

 野沢さんは新潟市郊外の農家で生まれた。兄弟10人の中、5番目である。高校二年生の時、担任の先生に「ボクは人に使われるのはイヤだから将来は事業家になります」といったそうだ。 巻高校卒業後「新潟刑務所の中で10年過ごした」 (犯人ではなく看守)あと、32才で独立した。雑誌の広告で警備保障というビジネスを発見した。制服で仕事ができるところに魅力を感じたという。「最初はネ、150∝のバイクに乗って営業したんだがどこへ行っても断られるばかり。当時は日本では空気と水と安全はタグという時代であった。金を払って警備を依頼する肇傭保障という仕事が認知されず、バカ者扱いをされた。 そんな時、持ち前の「今にみておれ」といぅ闘争心をかきたてた。この間争心こそセコム上信越が安全産業のパイオニアとして発展する土台になったといえる。一 バブル時代、野沢さんのところへもおいしい話がいっぱいころがりこんできた。しかし土地や株には一切手を出さなかった。安全を提供する警備保障業の確立に一直線で汗を流すことに徹した。 理由は 「汗を出さないカネはいらない」だった。

男のロマンを磨け

 異端児だからおもしろいエピソードには事欠かない。

その1
創業した時、財界の大物和田閑吉氏(故人・新潟商工会議所会頭)にアポイントもとらずに会い、出資を範んだ。しかし和田氏は「この商売は新潟じゃ無理だろう」というので「私は和田さんの意見を聞きにきたんじゃない。協力してくれるかどうかの返事を聞きにきた」とズケズケいったそうだ。一介の青年のくせして。

その2
大光銀行の十吉社長(現NST社長98才)にもアポイントなしで出資を頼んだ。駒形さんは新時代を読んでいた。駒形さんの印がついた名刺一箱分を用意し、「これを使え」といってくれたという。32才の野沢さんは大光銀行社長の名刺の効力がわからず、キョトン。「でもあとで効き目が絶大なのにびっくりしました。人のあたたかさが身にしみた」。その恩ある騎形さんがロぐせのようにいうそうだ。
 「事業家として大成するためには男のロマンを磨け」

その3
敦井産業を創業した敦井栄吉さん(故人)にも出資を頼んだ。敦井栄吉さんからはビジネスの厳しさを学んだ。「1年やっても黒字にならないような事業ならやめろ」と

その4
家庭では亭主関白。手元に灰皿があっても奥さんに「おいっ灰皿もってこい」これに対し奥さんの答えにノーはない。返事はすべてイエスなんだそうだ(うらやましい)。

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