なに?蒙古襲来?日本版ビックバン危機感 「たいへんなことになった」第四銀行 鈴木頭取(67才)
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※記事中の会社名・団体名・所属・役職等は取材当時のものです。
平成9年3月1日号
大西リポート038
 

なに?蒙古襲来?


「日本版ビックバン危機感」
「たいへんなことになった」第四銀行 鈴木頭取(67才)

美人の園

 一月下旬、第四銀行の鈴木治輔頭取を訪問した。本店の二階に受付がある。エスカレーターで二階へ行く。どこぞの百貨店へ入ったような気分だ。受付嬢に来意を告げると「大西様ですね。頭取がお待ちしていました。コートをお預かりします」ときた。こう言われると例えパパアでも悪い気がしないのに若い美人ときた。たちまち相好が崩れる。エレベーターで九階へ上がると再び飛びきりの美人が出迎えてくれ「いらっしゃいませ。こちらへどうぞ」とくる。美人が多いんだ。この会社には。もっとも支店は別だろうが。案内された頭取応接室は豪華で広い。ゆうに十人は座れる。天皇陛下を迎えても大丈夫。「日刊工業の支局長ごときはもったいない」とソファがいっているようだ。待つこと三分。「やあ、いらっしゃい」といって鈴木頭取が現れる。例によってニコニコ顔。機嫌よさそうだ。思えばこの人との付き合いも長い。鈴木氏が企画担当の課長時代以来だからかれこれ二十年は超える。まさかこの人が第四銀行の頭取になるなんて夢にも思わなかった。だから 「鈴木さん、鈴木さん」 と気軽に呼んでいたらアレヨアレヨという間に第四銀行のトップに出世してしまった。ところが頭取になったというのに頭取ぶったところがまるでない。ソフトで庶民的なのは昔のまま。酒の量まで昔と同じと聞いた。

タブーなんかないよ

 鈴木氏は頭取に就任して四年目に新潟経済同友会の代表幹事に就任した。その話を聞いて「アレッ」と思った。何しろ第四銀行の代々の頭取は「当行は新潟県産業界の裏方役」といい、表に立つことを極力避けてきた。
新潟商工会議所の正副会頭に「どうか」といわれてもかたくなに拒否してきた。それが鈴木氏の代になって新潟経済同友会の代表幹事になったのだ。「大西リポート」でも三年前「第四銀行のタブーを破った男」と評した。これに対し鈴木氏は「大西さん、あれは言い過ぎですよe第四銀行にはタブーなんかないんですから」と反論する。その新潟経済同友会の仕事も最近は力が入らなくなってきた。会合も欠席が目立つ。新潟商工会議所の中田会頭がいう
「経済同友会の存在価値はいいにくいことをハッキりいうところにあるのに一番ものをいいにくい人がトップに座っている。何しろ銀行は大蔵省からがんじがらめにあっているからね」この話を鈴木氏に伝えると「そのとおり」とあっさり認めたあと「今、本業がたいへんなんです。経済同友会どころじゃない。第四銀行が吹っ飛んでしまうような時期を迎えているんですから」

温室育ちだからね

 安定性、収益力などどれをとっても第四銀行の経営上不安材料などないと思うのだが「とんでもない。政府が打ち出した日本版ビッグバンね。あれはたいへんなことなんです」ビッグバンとは金融の大改革。銀行、証券、生保、信託などの垣根がなくなりすべて自由競争になる。「温室の中でヌクヌク育った人間がいきなり外へほうり出されるんですからたいへんなんです」筆者には鈴木頭取の心配が意外である。第四銀行には頭のいい人材がワンサといる。その数三千二百人。別に恐れることないじゃないか。「イヤイヤ、それは買いかぶり。新潟県が農耕社会であるのと同じく第四銀行にもおとなしい農耕型社員が多い。外の狩猟派人間と一戦を交えたらたちうちできませんよ」そういえば亀田製菓の古泉肇社長はダイエーの安値攻勢をうけて「黒船がやってきた」と三千五百人の社員に訴えた。福田組の福田実社長も「新潟県で一位でも全国では四十位。いつつぶれてもおかしくない」と訴えている。第四銀行の鈴木頭取はロにはしなかったが「蒙古襲来」という受け止め方をしている。「そうした危機感が社内にまるでない。それが私の悩みです」

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