ああ、何たるこの格差 県工業振興課 松月課長
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※記事中の会社名・団体名・所属・役職等は取材当時のものです。
平成9年1月1日号
大西リポート037
 

ああ、何たるこの格差


 
県工業振興課 松月課長

けしからん

  新潟工科大学の設立に貢献した岩浪工業、明和工業、新潟工取らの社長数人がある日絶句した。 「こりゃ、ひどい。けしからん」 「我々はまったく知らされていなかった」「知事や県会議員は何をしているのか!」11月下旬、私的に集まったある席で一枚のコピーを見せられ、びっくりした。そのコピーには農業と工業にかくも格差があることが数字で示されていたからだ。新潟県の米の生塵額は日本一である。日本一といっても年間僅か2,976億円に過ぎず、野菜や果物を加えた農業粗生産額で4,169億円だ。4,169億円を生産するため、新潟県は毎年1,951億円の県費を投入している。くる年もくる年も。これに対し、工業は年間4兆8,423億円生産し、農業の12倍もあるのに県予算は僅か677億円しかない。農業の半分以下である。「こりゃ あんまりだ」と絶句するのも無理からぬところ。中小企業の社長は「知らされていなかった」と憤慨するがこんなことは何十年も昔から続いてきた。ごく当たり前のことであり、だれも口にしなかった。いや、一人だけ異を唱える人物がいた。燕市の東陽理化学研究所の吉原祐社長である。そして今、二人目の人物が登場してきた。しかも県庁内部から。平成8年6月に工業振興課長に就任した松月宏之氏(33才)である。

農業
工業
生産額
4,100億円
4兆8,000億円
県の予算
1,900億円
670億円

(注)生産額は平成6年、県の予算は平成8年度当初予算案、農業は農林水産費の合計、工業は商工費予算

科学技術費、福島県の四分の一

 松月課長は語る。「新潟県の産業を振興するにはベンチャーの育成も必要です。地場産業へのテコ入れも大切です。でもその根幹をなすものは人材の育成です。特に知的レベルの高い人材です」

 「それには新大工学部、長岡技術科学大学、新潟工科大学への支援が重要です。県からの委託研究や財団への支援、さらには大学と産業界との仲だちをやらなければなりません。とりわけ新潟工科大学は早く大学院をつくり、技術レベルの高い人材を地元企業へ送り込む必要があります」「ところが現実はお寒い限りなんですよ。新潟県の科学技術関係経費は年間79億円に過ぎず、山形県の131億円、福島県の330億円、富山県の86億円より低いんです。人口が83万人の福井県が174億円なのに対し、人口249万人ある新潟県が79億円というのはどういうことですか!しかも79億円うち農業関係が62%も占め、工業関係はたった22%なんですよ」「私は県内の工業振興のため精一杯やりますが、こういう基本的なところがこのままでは限界があります」

ああ、農業県

 新潟県は今も昔も農業県である。農業県であるという理由は県の予算が厚いということだけではない。伝統的な農家のものの考え方が商業にも工業にも根深く浸透しているからだ。では農家のものの考え方とは何だろう?それは目立ったことをやるとガツンと叩かれる。つまり出る杭は打たれることを県民は知っているのだ。だから争いごとは極力避け、人並みが尊ばれる。横並び意識というやつだ。県工業振興課長の松月氏のようによそ者で、若輩で、しかも新潟赴任六カ月程度の人間がどんな立派なことをいってもまともに相手にされない。「言わせるだけ言わせておけばいいさ。二年たったら通産省へ戻るんだから」というのがホンネだろう。ましてや「農業より工業が大切」と言い出したら農業系の県会議員や役人から足を引っ張られるのは目にみえている。「若造引っ込め」と。「ええ、正直いって淋しい限りです。いくら声高に叫んでも沈黙しかかえってきませんから…。でも新潟県の産業振興にはハイレベルの人材養成が絶対必要なんです。そのためには科学技術の振興に予算を」と訴えているのだが…。

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