「おや?ここにも日本一が」職員800人抱える新潟県労働衛生医学協会 人情派会長、藤口七智氏(69才)
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※記事中の会社名・団体名・所属・役職等は取材当時のものです。
平成8年8月1日号
大西リポート032
 

「おや?ここにも日本一が」


職員800人抱える新潟県労働衛生医学協会
人情派会長、藤口七智氏(69才)

知られざる日本一企業

 大西リポートでは、これまでたびたび新潟生れの日本一企業をとりあげてきた。人間の「検診」を業務とする(社)新潟県労働衛生医学協会も、まぎれもなく日本一である。職員数がじつに八百人を超える。全国にある同業の協会では多いところでせいぜい三百人というから断トツである。新潟県内に張り巡らせた出先機関は17にもなり、ここを訪れる検診者は年間80万人にもなる。つまり県民三人のうち一人が新潟県労働衛生医学協会の世話になっていることになる。健康診断や人間ドックで世話になった人が読者の中にもいるはずだ。
 同協会の実力者、藤口七智氏(69才)を新潟市川岸町の本部に尋ねてみた。会長兼理事長であり、しかも創業者でもある。出身は西蒲原郡吉田町。今も吉田町の自宅から通う。面倒見のよさは天下一品。今日の日本一は藤口氏の人情派路線がもたらしたものともっばらの評。

ピンチ脱出法

 「この協会をつくったのは昭和37年。私が35才の時でした。三条の労働基準監督署を辞めての脱サラだったんですよ」「検診車一台を買い、職員14〜15人でスタートしたんです。山の中にある現場へ泊まりがけで何回も行きました」検診業という商売なので最初から労働省や県のカネがドカッと入っての殿様商売かと思ったらそうではなかった。普通の中小企業の創業と同じなのである。
 「創業して二年目に大ピンチが訪れましてね。昭和39年の新潟地震です。お客さんは検診どころではなくなったので、まったく仕事がこなくなった。放っとけば倒産していたでしょう」「じゃ どうしましたか?」「新潟労働基準局の次長をやっていた大和田友一さんがその時、秋田の局長をやっていましてね。どうだ秋田へきて仕事しないか、と助け舟を出してくれました。渡りに舟と飛びつきました。秋田県の鉱山会社を回って検診したんです。この時の出稼ぎでピンチを脱することができたんです。大和田さんには今でも感謝しています」どんな一流経営者でも必ず経営上のピンチに遭遇する。森口氏を支えたのは豊富な人脈だった。並の人脈ではない。人望の厚い人との交流だった。若い頃、燕の経営者と随分、付き合った。「吉川雪松さん、兼古敏男さん。いい人物だったなあ。人間のふところが大きかった。逆に威張ったり、だました人は自然と消えていったね」燕の修羅場(倒産、夜逃げなど)をみてきたことが、今の日本一につながったという。

無借金経営

 森口さんは最近、長い人生の中でもっとも重要な決断をくだした。トシからみてこれが最後の決断になりそうだ。50億円を投じた本部会館の建設だ。今秋には着工する。場所は西蒲原郡黒埼町。土地五千五百坪はすでに手当て済みだ。「これまでの流れからみて今後はレベルの高い検査が必要になる。だからCTSとかMRIとかの高価な設備をそろえる。職員二百人も移動させる」。とはいえ投ずる資金は50億円にものぼる。「これまで長く無借金経営でやってきたが、今回ばかりはそうはいかん。50億円もかかるんじゃねえ」といかにも借金することが楽しいようだ。県内17カ所にある検診センターや検診車は日本船舶振興会とか日本自転車振興会の補助金を活用してきた。「これまではよかった。自前のカネが25%あれば残りは補助金でまかなえた。でも最近は競争が激しくなってきたのでまるでダメ。全額自前のカネが必要になってきた」金融機関の藤口もうでが激しい。

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