徳俵に足かかった倉敷機械 ついに債務超過へ 倉敷機械 宮崎一明社長
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※記事中の会社名・団体名・所属・役職等は取材当時のものです。
平成8年8月1日号
大西リポート030
 

徳俵に足かかった倉敷機械


「ついに債務超過へ」
倉敷機械 宮崎一明社長

栄枯盛衰

 今、長岡市を代表する会社は?といえば日本精機である。だが30年前は工作機械メーカーの倉敷機械だった。当時の諏訪薫社長(故人)は威勢がよかった。長岡市長を呼びつけるほどの力もあった。あれから30年。栄枯盛衰は世のならいとはいえ、今の倉敷機械の姿はあまりにもさみしい。後退に後退を続けた結果、社員はたった二百四十五人、年商四十九億円というどこにでもみられる中小企業になってしまった。規模が縮小しただけならまだいい。じつは、いつつぶれてもおかしくない重症患者なのである。大幅な赤字が五年も続き、今年も赤字予想だ。借金が52億円にふくらみ、売上を上回った。積立金もすべて取り崩した。
 この三年間で社員が百人も辞めた。その結果、総資産90億円に対し、総負債が92億円となり、ついに債務超過会社に陥ったのである。債務超過が三年続くと上場廃止となる。「ああー」。土俵の徳俵に足がかかり、歯をくいしばってこらえている感じだ。そんな状態が五年も続いている。いったいなぜここまで落ち込んだのか!

長岡の没落はなぜ?

バブルに浮かれて土地や株を買い、それが暴落したというなら話はわかるが、同社にはそんなことはみじんもない。社長が外車を乗り回し、女をかこって夜な夜な遊びまくっているという詰も聞かない。労使紛争もない。イヤ、現実は逆。上も下もまじめでコツコツ型。地味ながらよく働く。いい学校を出ている社員が多い。「それなのになぜ?」
 長岡市にはかつて全国展開した自社ブランドの工作機械メーカーが15社あった。だが他県勢の競争に破れ、難波鉄工がつぶれ、品田鉄工がなくなった。岡村鉄工が消え、日本機械製作所が店閉まいをし、林製作所、西片製作所も次々と討ち死にした。そして最後に残った「とりで」ともいうべき倉敷機械が気息えんえんの状態なのだ。ここまで没落したのは「工作機械」という商品そのものに根本原因があるのか。それとも経営者の資質に原因があるのか。

ああー。サラリーマン社長

 倉敷機械は「倉敷」の名が示すように岡山県倉敷市の倉敷紡績が親会社だ。今でも資本の48%をもっている。大物社長といわれた諏訪薫氏以降、社長は親会社から送りこまれてきた。五年前まで社長をつとめた桧皮幸一氏、現社長広田博氏、そして6月18日から新社長になる宮崎一明氏。いずれもサラリーマン社長である。そして工作機械の素人である。と、こう書けば読者もおわかりだろう。銀行や団体とかの安定した会社なら素人のサラリーマン社長でも何とかやっていけよう。
だが、工作機械業界というのは海千山千の経営者がそろって激しい叩きあいを展開している。好不況の波がものすごい。しかも技術がわからないと相手にされない業界である。叩き上げのオーナー経営者でさえ「ウーン」とうなるほど難しい世界だ。そんな世界へ繊維畑で育ったサラリーマンが上から「行け」といわれてやってきた。ベンチャー企業を自認する雪国科学(新潟市)の町屋敦司社長がいっている言葉が思い出される。「死にものぐるいになったら、サラリーマンなんかにゃ、負けるもんですか。何たって白宅を担保に入れてるんですからね。中小企業の社長は」

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