「大借金」「赤字」「無気力社員」打開策はまず、コネの採用中止から 新潟交通 中野進社長(64)
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大西リポート 「大西リポート」は新潟県内の経営者の生き様を大西勇がホンネで紹介したドキュメントです。
日刊工業新聞記者・大西勇が取材した新潟交通・中野進社長の本音。売上が245億円というのに借金が348億円。「ええっ!」思わず耳を疑ってしまう。その原因は何だ? しかし、社長は余裕の笑み・・・。

 
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※記事中の会社名・団体名・所属・役職等は取材当時のものです。
平成7年4月1日号
大西リポート013
 

「大借金」「赤字」「無気力社員」


「打開策はまず、コネの採用中止から」
新潟交通 中野進社長(64)

病める巨象

 新潟市の名門、新潟交通が病んでいる。病んでいるなんてなまやさしいものじゃない。大借金地獄に陥って苦吟坤吟しているといってよい。何しろ売上が245億円というのに借金が348億円もある。「ええっ!」思わず耳を疑ってしまう。348億円のほかに預り金が100億円もある。
 パンパンもうかっている会社ならいざ知らず、慢性的な赤字会社なのが問題の根を深くしている。94年三月期は18億円の赤字。95年三月期も15億円の赤字。これじゃ借金はふくらむ一方だ。ここ数年、同社は土地や株を売っては赤字の穴埋めをしてきた。こんなことをやっていたらいつかは財産がすりきれてしまう。ところがこんなに会社が苦しいというのに社長にまるで危機感がない。絶対つぶれないと思っているせいか、安心しきっている。筆者の友人に新潟交通の社長が何人かいる。人柄はいいのだがのんびりし過ぎている。「昼あんどん」と思う人も多い。「ありゃ、公務員と同じだよ。働かないね。定時から定時まで勤めるだけ。あんなのを新潟病の患者というのだろう」とこきおろす人もいる。

コネで採用せぬ

 新潟交通の経営をあずかる中野進社長(64才) は、新潟商工会議所の副会頭でもある。名門の会社だけに次期会頭の呼び声も高い。ある宴席で、中野氏と隣合わせに座ったのを幸いと同社の経営問題を聞いてみた。話し方は決してうまくない。トツトツタイブだ。「本業のバスが自動車にやられて客が減った。わが社の力だけではどうにもならん。赤字路線を廃止しようと思っても運輸省がうんといわん」

 「バスの赤字を埋めようといろいろな手をぅってきた。不動産、通信販売、結婚サービス、さらにはセガ・エンタープライズと提携したマルチメディアなどこれでもか、これでもかと知恵を出してきた。でも、何をやっても人の問題につきあたる。同じ仕事でも人によって赤字になったり、黒字になったり」 「我が社を根本から建て直すには人材の大改造以外にない。昔はコネで人を採用したのであまりいい人材がいなかった。そこで8年前からコネの採用は一切やめた。学歴もいらん。成績もいらん。ガリ勉なんか全く不要だ。やる気のある人間だけを採用してきた」 「8年ほど前から、やる気人間を毎年10人前後採用してきたから、かれこれ100人になる。あと5年もすれば100人の中から課長級が出てくる。その時が新生新潟交通としてうって出る時だ。楽しみだ。5年先が……。ワクワクする」

含み資産が何と1,000億円

なるほど、百年の大計にたって大改造計画を実行しているのだ。小手先の手段ではなく、人材という根元の部分から。だが、それにしても350億円もの借金が重くのしかかる。働いても働いても、もうけは利子として銀行にもっていかれるだけ。
 再び、中野氏に聞いてみた。「財産の切り売りで赤字を埋めていたのではいつかは、スッカラカンになる。銀行も気が気でないでしょう?」
 これに対し中野氏はニコッと笑って答えた。「だいじょうぶです。資産がざっと1,000億円ありますから」そうか。1,000億円もの含み資産。思わず「ウ〜ン」と、うなったものだった。

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