海外進出はいいぞ!不況の中、売上が何と43%増  燕の顔、遠藤製作所 遠藤栄松社長(64才)
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※記事中の会社名・団体名・所属・役職等は取材当時のものです。
平成6年8月1日号発行
大西リポート006
 

「海外進出はいいぞ!」


「不況の中、売上が何と43%増」
燕の顔、遠藤製作所 遠藤栄松社長(64才)

タイのエ場はドル箱

  燕市で近年、メキメキ頭角を現してきた人物がいる。遠藤製作所の遠藤栄蛤社長(64才)だ。円高で輸出が激減するハウスウエア業界の中にあって同社は今年4月期決算で売上を43%も伸ばし、93億円にした。この不況期、10%でも伸ばせば上々なのになんと43%も伸ばしたのだ。
 「ええっ?」との問いに遠藤社長は 「タイの工場のおかげですよ。」とニッコリ笑った。
 タイ工場とは、4年前に全額出資でつくった「エンドウ・タイ」のことで、ゴルフヘッドの研磨作業等の生産を行っている。筆者も工場が完成した時、タイへ旅行し、その工場を訪問した。冷房のきいた工場で20才前後の女性社員百六十人が慣れぬ手つきで働いていた。その工場が今では何と、三百五十人にふくれあがり、さらに別の場所でステンレス製品の工場もつくり、百五十人を雇っている。
 遠藤氏は語る。「タイへ出る時、周囲の人からいわれた。遠藤のやつ、タイへ行って大失敗するぞって。しかし、燕じゃ研磨をやる人間がいないんだ。海外へ出るしか生きる道がなかった。」と。
 そのタイ工場がたった4年で同社のドル箱に成長したのである。この間、燕の工場も人を増やし、産業空洞化を見事、回避した。

学歴無用の男

 佐藤食品の佐藤功社長(56才)、雪国まいたけの大平喜信社長(46才)、アーティックスズキの鈴木敏昭社長(52才)。
 いずれもバリバリのオーナー社長だが、おもしろいことに学歴がない。中卒なのである。燕を代表とする顔ともなった、遠藤氏も同じく中卒である。四人共、学歴なんかクソくらえ、全く意に介していない。ヘタな東大出より、はるかに人間的魅力があり、収入も多い。しかも、教育に熱心なのである。

 子供を有名大学へ入れようと、血眼になっている教育ママの努力はいったい何なのか?4人の中卒社長をみていると、つくづくそう思ってしまう。
 ヒト、モノ、カネ、情報が経営資源といわれるが、遠藤氏がもっとも重視しているのはヒトである。社員教育や従業員福利厚生には人一倍気を使う。そういえば燕にある数多いエ場の中で、最初に冷房を入れたのは遠藤製作所だった。暑いタイの工場でも冷房を入れた。
 タイの工場が成功した理由は、人を得たことである。新飯田出身の星満氏が現地の責任者として一切をとりしきっており、本人はタイ語はもちろんOK。夫人もタイの人。永住する覚悟と決めている。
 学歴や教育に縁のない人生を送った人間が社負数育に一番力を入れ、社業を発展させているのだから、世の中おもしろい。

転換、転換、また転換

 燕の産業は業種転換の歴史だった。遠藤製作所もそれを地でいっている。ミシン部品メーカーとしてスタート。次いでステンレスのお玉をつくり、これが落ち目になるとゴルフのヘッドへ転換した。
 ゴルフクラブは今や同社の主力製品で、国内の生産が難しいとみるや、タイへ。そして次の海外展開も考えている。
 性格は積極果敢。ワッショ、ワッショと大勢を引っ張っていく。顔はいかついが、心根はまことにやさしい。昨年、日本金属ハウスウエアー工業組合の理事長に就任してからも燕の業界全体をグイグイ引っ張っている。人望が厚かった兼古敏男氏(東陽理化学研究所前社長)が他界したあと、遠藤氏がすっかり燕の顔となった。
 主力製品がゴルフクラブだけに趣味はゴルフ。趣味と実益が一致するのだそうだ。

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